09.01.27


Sakita Hajime Europe Tour 2008
〜初めてのヨーロッパツアー編〜

2008.11.12〜11.17




12時間のフライトを経てフランス・シャルルドゴール空港へ。ああ。ついに来たのか、この日が…。
サキタハヂメ初ヨーロッパツアーがいよいよ始まるんだ。

今回のツアーはパリ〜フィレンツェ〜ローマへ。
 11月12日(水)Maison de la culture du Japon a` Paris  パリ日本文化会館 (FRANCE paris) 
 11月14日(金)朝はフィレンツェ・マルコーニ小学校、夜は劇場Teatro del Sale  テアトロ デル サーレ (ITALIA firenze)。
 11月15日(土)Chiesa di Santo Stefano al ponte サントステファノ教会 (ITALIA firenze) 
 11月17日(月)Istituto Giapponese di Cultura (ITALIA roma) ローマ日本文化会館。全5会場です。

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コンダクトしてくれたのは、僕のいとこ、Kaori&Hirokoちゃん姉妹。Kaoriちゃんはパリ、Hirokoちゃんはフィレンツェに住んでいるんです!彼女たちが僕の音楽をとても気に入ってくれていて、いつか行って演奏したいなあと思っていたのです。ちょうど1年前に2人が日本に帰って来ていたとき相談したのが事の始まりでした。コンサート制作などやった事ないのに懸命に動き回ってこのツアーを形にしてくれた2人にまず大感謝!!

演奏メンバーは僕と山下憲治君(ピアノ)のデュオ。演奏はもちろんだけど山下君は演奏中の笑顔が最高!きっと僕らが音楽が好きでたまらない事が伝わるはずだ。”初のヨーロッパツアー”と言いましたが、実は僕は8年前にもチェコに行って演奏はしています。工具メーカーのサンドビックとチェコののこぎり奏者ペートルドピタさん達が開催した「ミュージカルソウフェスティバル」に参加したのです。面白ネタもいっぱいですごく楽しいツアーだったけど、個人的に肝心の演奏は1曲だけで、しかもあまり上手くいかず、悔しい思いを残して帰って来たのです。だから今回が「リベンジ渡欧」なのです。

ちなみに今回、演奏メンバーは2人だけど、同行メンバーがいっぱい。スタッフにNさん、MJくん。そして家族も一緒に。1歳の息子も連れていきました。大きくなっても多分覚えてないだろうけど、僕の世界へのスタートを目と耳、記憶のどこかに焼き付けてもらいたいなと思って。飛行機がちょっと心配だったけど…。

11月11日(火)
この日は一日ぶらぶら。朝市めぐりやカフェでゆっくり。そしてやっぱり必ず寄りたいのは大工道具売場やね。BHVで見つけましたよ、切るのこぎり!何とプジョー製!ブランドモンやん!パリ市役所前にこんな像も見つけました。歓迎されてるぞ〜!オペラ座にも行ってきました。いつかはここでやったるで!!

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11月12日(水)
いよいよコンサート当日。フランスの会場はパリ日本文化会館。08年の日仏交流150周年記念イベントにも選んでくれたんです!チケットは完売。リハーサルで改めて「ここから僕の世界行きが始まるんだ」と実感。さあ、あっという間に本番。演奏中の感覚は日本と一緒だった。山下くんもイイ顔してる。プジョーののこぎりで弾いた『ムーンリバー』もみんな大ヨロコビ。で、MC、うっかりしてたなあ。通訳のリザに僕の大阪弁が通じないんですわ(笑)。結局Kaoriちゃんに助けてもらいながら、一生懸命がんばってくれたよ!そのモタモタした感じにお客さんも大笑い!最後の『光のさす方へ』の想いは、キッチリみんなに届いたと思う。アンコールにやった『キラキラ星』一番前にいた子供たちも歌ってくれたね!そうか、あれフランスの曲だ。みんなの嬉しそうな顔がとても力になったパリの夜でした。何とあの指揮者の佐渡裕さんも観に来てくださいました。ちなみに息子は僕らがリハーサル中、じいちゃんばあちゃんに連れられてエッフェル塔に登って来たらしい。通天閣より先に登るなんて…。僕も行った事ないのに…。

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11月13日(木)
早朝5時にホテルを出て、僕とNさん二人でシャルルドゴール空港へ。まだカウンターすら開いてないような早い時間。午前中にフィレンツェに入り、イタリア全国プロモーション。新聞やテレビが集まってくれて記者会見を開いてくれるのです。Hirokoちゃんが紹介してくれたコーディネーターでオペラ歌手のMさんが、僕のCDに興味を持ってくれて、先日東京で演奏した「のこぎり協奏曲」も聴きに来てくれて意気投合。彼そしてH.I.S.イタリアの皆さんの心強いサポートがなければ、今回のイタリアツアーの成功はありませんでした。本当にありがとう!!フィレンツェに到着し、Hirokoちゃんと久しぶりの再会!ウォー!!ヨロシクね〜!チャオ!!

タクシーで市街まで。びっくりしたのが、至る所に僕のポスターが張ってある事。日本でもこんな事ないのにね。記者会見の場所は、パラッツォ ストロッツィの内のガビネットG.Pヴィッスー図書館にて。10社くらいの新聞社、テレビ取材も。僕のルーツやのこぎりの音楽の事、どこでどう修行したのか、日本で流行ってるの?日本の音楽大学にはのこぎり科ってあるの?(笑)とか、いろんな事を熱心に聞いてくれた。イタリアでも「のこぎり音楽」はあまり知られてないみたい。最後にプッチーニの「私のお父さん」をソロで演奏しました。ヨロコんでくれてる!この感じがコンサートでも出たらいいなあ。
その後、すぐ近所のお店でイタリアパスタの洗礼を。この時のカルボナーラが今でも忘れられません。時間が経ってもベチャっとならず、濃厚でコクがある…。どうやったらあんなに完璧なのが作れるのかな?
 その後、明日の会場サントステファノ教会へリハーサルに。ポンテベッキオ橋の近所にある1100年代に建てられた教会。ヨーロッパの教会でやってみたかったんですよ!夢の1つでした。ハデな教会ではないけど荘厳な佇まい。天井も高く、響きが素晴らしい!!のこぎりの生音が天から降り注いでくる!これぞ探し求めていた響きだ…。感無量になって、ずーと弾いてました。スタッフが「パイプオルガンも使っていいよ」って!早速2人でいろんな曲を試してみる。あ、いい事思いついたぞ…。しかし、さっとパイプオルガンも弾ける山下くんって凄いヤツやな。

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11月14日(金)
朝、フィレンツェ市内のマルコーニ小学校へ。山下くんとは日本中のいろんな学校でも演奏しているから、息もバッチリ。凄く楽しみにしてました!子供たちが初めてのこぎり演奏を観る時に見せてくれるキラキラした目がたまらなく最高なんですよ!イタリア初のコンサートが小学校って何かイイよね〜。先生たちも大喜び。『ゆかいな牧場』を転調したりどんどん早くなったりしてやったら、大盛り上がり!明日の教会のコンサートにも行くよ!って言ってくれた。学校ではのこぎり体験コーナーもやるんだけど、今回やってくれた子が、何とVIOLAちゃん!

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 夜はテアトロデルサーレでコンサート。ここは修道女さんたちの宿舎になったり工場になったり、様々に使われてきた歴史ある建物。そこを今のオーナーがトスカーナ料理が楽しめるレストラン&劇場にして大人気に。21時本番スタート。客席は大人なムードだったけど、結局いつも通りニコニコで『かんぴょう』まで歌ってしまった…。リハでやったモーツァルトの『夜の女王のアリア』、本番ではやらなかったら後で若いスタッフに「何であれやらなかったの?好きだったのに〜」って言われた。聞けば、女性用避妊具のCMで大勢の女性が絶叫しているバックにかかってるらしいわ(笑)。ちなみに…のこぎりはイタリア語でsega(セーガ)っていうんだけど、もう1つ意味があって、何と「マスターベーション」なんだってよ(笑)、フフフ、深いやろ…。
「イタリア人は飽きたら途中でも結構帰るよ」ってビビらされてたのですが、盛り上げたぞ!1人も帰らず、ノッて、聴いてくれた。Mさん、こんなイタリア人初めて見たって言ってた…。何か掴みかけた感じだ。終わってからデルサーレの若いスタッフも一緒に打ち上げ。自信を持って出してくれた最高のトスカーナ料理に舌鼓を打ちながら、僕たちの音楽がとても心に響いたよと熱く語ってくれた。

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11月15日(土)
朝、フィレンツェ散策。ウフィッツィ美術館、ボッティチェリのビーナス誕生やダビンチの作品に出会う。本物だ…。僕もそういう「本物だ」といってもらえる作品を作りたい。ここにこないと分からなかったこの感じ。本当に来て良かった。
しかし落書き多い町や。でも、町に1000年以上前の建物が当たり前のようにあって、今も現役で人々の暮らしの中にある。電柱や電線がない。角を曲がると空がパーーッと広がる。息子も空が見えるたびに『ワ〜〜っ』と声を上げる。どうも天使もいっぱい飛んでるみたいだ。

そして、昼食にトラットリアへ。え…、いぬちゃんがいる。イラストレーター、青空亭のいぬんこさん!はじめにきよしのジャケットを描いてくれたり、シャキーン!のイラストを担当してたり公私ともに大親友。もう、びっくり!実は、いぬちゃんはお姉さんと旅行で来ていて、ちょうどこの日がフィレンツェに当たるツアーだったのです。寛子ちゃんはこの事を知っていながら、サプライズで黙ってた。オイ〜、憎いなあ。一緒に寛子ちゃんおすすめのお店で肉やパスタ食べて、嬉しい時間を過ごしました。いぬちゃんのツアーの方は食べ物がそれはもう悲しい内容だったらしく、この日のランチが一番美味しかったって(笑)。良かったねえ。

いよいよ教会でのコンサート。子供から年配の方まで500人も詰めかけてくれて、これ以上入れない!とガッシャーンと扉を閉めたんだけど、それでも「ドン!ドン!入れろ〜!」と扉を叩き続けるイタリア人100人…。やはり賛美歌や『VIOLA』のような、ゆったりした曲は特に美しい。通訳はフィレンツェで歌の勉強をしているミナコちゃん。彼女は関西人で、一度僕の話に笑ってから通訳してくれる(笑)サイコーやん!!第2部で山下くんいよいよパイプオルガンデビュー。まず、1曲は『グノーのアベマリア』。そしてもう1曲、もの凄く悩んだ末、…日本の『ラジオ体操第一』を賛美歌風にゆったりやってみましたよ。教会だからってキリスト教曲に傾倒しすぎず、誰もが願う「健康」を届けようと…。H.I.S.のスタッフさんや、観光で来ている数少ない日本人は爆笑、イタリア人は「いい曲だ〜」と目を閉じてうっとり(笑)。その光景に演奏しながら、笑えてしまうくらい楽しかった。コンサートが終盤にさしかかり、マルコーニ小学校のみんなが「ハヂメ〜」と声をかけてくれたりして、凄く嬉しくて、まだ終わりたくない!!と強く思った。『プッチーニの誰も寝てはならぬ』『見上げてごらん夜の星を』『光のさす方へ』。音が天に吸い込まれていく。そしてみんなに降り注ぐ。音が光のカーテンのように目に見える。終わってから、お客さんたちのいい顔をいっぱい見れた。CDもいっぱい買ってくれた。「宇宙と繋がっていたよ」「演奏中、あなたは天使と目が合っていたのよ!」「楽しかったよハヂメ!」「次はいつ?」最高に嬉しい!本当に嬉しい。のこぎりやってて本当に良かったと思えるコンサートでした。

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11月16日(日)
いよいよ最終地ローマ。フィレンツェからユーロスターで移動。車窓をゆっくり楽しみながらの旅。車内でいただいた、Hirokoちゃんが握ってきてくれたおにぎりが最高に旨かった!すごく楽しみなローマなんだけど、スリが多いよ、気をつけてね!と聞かされていて少しビビってた。ホテルに着いて、町を散策。紀元前に建てられた建築物が普通にある。何て大きな時の流れ。ローマの三越に行った。凄くハッピーな色の鞄をゲット、そこになんとまたいぬちゃんが!(笑)これは、何!このサプライズ!この広い世界でこれは一体どうなってるんや…!三越にあった「とげをぬく少年」(笑)どうしたんや!!君は!!そしてこの夜だけ、信じられないほど不味い中華屋へ…。

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11月17日(月)
朝、凄くいい天気。コロッセオやパンテオンを見物。夕方からローマ日本文化会館へ。日本に帰って来たみたいに落ち着く雰囲気だ。ホールはとても響きがよく、気持ちよくてまたずーっと弾いてた。さあ、衣装に着替えようと思ったら、ホテルに衣装のパンツを忘れた…!取りに行ってもらった、ゴメン…。胸に赤いミニのこぎりバッヂもつけて、さあ、本番。リクエストをもらったモリコーネの『ニューシネマパラダイス愛のテーマ』。そうか、モリコーネってローマなんだね。あの映画大好き。何回見てもジーンと来て泣いてしまう。質問コーナーで、ニヤニヤしながら「セーガ音楽って、女性の前で恥ずかしくない(笑)?」って聞くおじさんに「そりゃもちろん恥ずかしいよ〜」って答えときました。みんなが楽しそうにしてくれるから、とてもリラックスしたステージが出来たよ。ありがとね〜。そして何と!「河内長野ラブリーホールのこぎり講座」メンバーのNさんが、日本から観に来てくれました!!もう、びっくり…。ローマの皆さんもとても喜んでくださった。ずいぶん遅くまでみんな打ち上げに残ってくれた。お寿司やワインが旨くて、ちょっと、いや、めちゃめちゃ飲み過ぎた。大仕事の最終日は、何かいつもこんな感じになるなあ…。う〜むまずいなあ。次の日全く起き上がれませんでした。でも、Mさんから「もっとヨーロッパで演奏するべきですよ!きっと素晴らしいことになる」と言葉をかけてもらい、何とか立ち上がり帰れた僕…。

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11月18日(日)
ありがとうローマ!また来るね。僕、まだ酔ってますが…。空港でHirokoちゃんと涙で別れ。また必ず帰ってくるからね!本当にありがとう!!そして一同パリへ。Kaoriちゃん家に伺いヨーロッパツアー祝賀会。パティシエの順子さんや、お友達も集まりにぎやかで嬉しい時間でした。ここで、1曲ショパンの『別れの曲』をのこぎりソロでやったら、友達のアリスさんが涙をこぼしてくれたんです。最近いろいろ辛い事があったみたいで…。ホッとしたんだって。で、この曲で終わろうとしたら、彼女の息子の2歳のアントンがもう1曲やって!!とアンコールをくれた。キラキラ星をヒューンって入れまくってやったら、大爆笑!ああ!これ。これがやりたいんだよな。「泣き&笑い」の間を行ったり来たりしながら、楽しい音楽を作って行くぞ。お客さんは日本と一緒や。いい音楽は伝わるし、もひとつなものは伝わらない。楽しいのがいい。美しいのがいい。そのシンプルな事実。また、行くぞヨーロッパ!

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